モチベーションを上げるより先に“下げない”→下げたら“上げる”
[入門]喜び・楽しみ・愛しみの明るい感情と笑顔あふれる職場は心理的に安全
一章 明るい感情とは?三種類の明るい気分
①嬉しい ②楽しい ③愛しい 三種類の明るい気分。いい(good.great. excellent. )と感じた時の気持ち
一節 明るい気分に、理由は無関係
一項 明るい気分とは、なんとなく感じるいい感じ。
二項 明るい気分は、他人から肯定されてやわらぐ笑顔、話し方、書く内容、受容な態度に、自然と反映(心の底から「ありがたい」と感謝されると、思わず、頬がゆるむ等)
三項 明るい感情は、何かを肯定するときの表情、話す内容、文章表現、親和な態度に、反映する演出が可能(誰を称えるとき「よくやった」と一声かけて笑って肩をたたく等)
二節 喜び、楽しみ、愛しみのうち『愛』の気分と感情が、愛情
愛情とは、自分や他人の気分を良くするかもしれない気持ち。よく知られる喜怒哀楽の四つに、愛は含まれない。愛情より発せられる能動態が、情愛(四節に詳しく)
三節 愛情(あいじょう)とは? 『善意』と 『好意』の二つ。
『善意』と 『好意』を具体的にすると?
[例] 褒める、称える、好く、愛する、守る、可愛がる、許す、優しくする、仲良くする、親切にする、励ます、お礼する、感謝する、助ける、譲る、迎える、労う、慕う、祝う、伸ばす、思いやる、協力する等、何かを肯定する意思
四節 能動態(ex.愛する)と受動態(愛される)に二分される情(情動と感情)
同じ言葉(ex.愛)であっても、立場、行為、意味が、能動と受動は対照的に異なる。受動態を具体的にすると
[例] 褒められる、称えられる、好かれる、愛される、守られる、可愛がられる、許される、優しくされる、仲良くされる、 親切にされる、励まされる、感謝される、助けられる、譲られる、迎えられる、労われる、慕われる、祝ってもらう、伸ばしてもらう、同情される、協力される等、他者から肯定されて湧く気持ち。自分で自分をほめる等の自己肯定が難しい気持ち。
【正解のない考える研修】あなたは? ほめたい能動タイプですか?ほめられたい受動タイプですか?
ほめるのも、ほめられるのも、対象は、職場の誰かに限定して考えてみて下さい
二章 暗い感情とは?三種類の暗い気分
①怒る ②悲しむ ③憎む(悪む) 三種類の暗い気分。よくない(not good. No Good.bad. )と感じた時の気持ち
※悪む(にくむ) は、漢文の古典の訓読
一節 暗い気分に、理由は無関係
一項 暗い気分とは、なんとなく感じるよくない感じ
二項 暗い気分は、他人から否定されて変わる表情(怒り顔、困り顔、泣き顔、真顔)、話し方等、やるかたない態度に、自然と反映(ex.視線をそらす)
三項 暗い感情は、何かを否定する時の表情(怒り顔、困り顔、泣き顔、真顔)、話し方等、態度に反映する演出が可能(ex.雰囲気を引き締める目的でわざと怒る)
二節 怒り、悲しみ、憎しみのうち『憎(悪)』の気分が、悪情(あくじょう)
悪情(あくじょう)とは、自分や他人の気分を害する危険がある気持ち。よく知られる喜怒哀楽の四つに、悪は含まれない。悪情(あくじょう)より発せられる能動態が、情悪(じょうわる)
三節 悪情とは? 『悪意』と 『敵意』
『悪意』と 『敵意』を具体的にすると?
[例] 嫌う、憎む、恨む、嫉む、妬む、厭がる、蔑すむ、虐げる、いじめる、苛む、怪しむ、拗ねる、羨む、僻む、復讐する、咎める、馬鹿にする、見下す等、何かを感情的に否定する、あるいは、否定したくなる気持ち
四節 能動態(ex.意地悪する)と受動態(ex.意地悪される)の二つがある情(情動と感情)
同じ言葉(ex.意地悪)であっても、立場、行為、意味が、能動と受動は対照的に異なる。受動態を具体的にすると
[例] きらわれる、にくまれる、うらまれる、そねまれる、ねたまれる、いやがられる、さげすまれる、しいたげられる、 いじめられる、さいなまれる、あやしまれる、すねられる、うらやましがられる、ひがまれる、ふくしゅうされる、とがめられる、バカにされる、みくだされる等、何者から否定されて湧く気持ち。自己否定すると感じる気持ち。
五節 他人が発した感情の受け取り方(受動)は「悪意・敵意」「好意・善意」「無」の3つ
悪意と敵意の悪情で受け取るか?善意と好意の愛情で受け容れるか?何も思わないか?の3つに分類される
【正解のない考える研修】あなたはA~Cどのタイプでしょう?
A)人の話を、善意や、好意で受け容れるタイプ
B)人の話を、悪意や、敵意で受け取るタイプ
B)人の話を、感情なくして(笑いも怒りもせず)淡々と受け取るタイプ
三章 感情の存在意義は、気分の伝達。今の気分を他人へ知らせる役目
人間関係は、自分と他人の脳が、情報を交換する、頭脳関係
感情の流れ三段階
①情動……情動とは、外部からの情報を感受、あるいは、思い出した瞬間の一時的な脳の動き
情動は、他人へ伝わらない
②気分……気分とは、情動の受け止め方(いい情報か?よくない情報か?)、ムード、健康、状態、意識で左右される主観的な脳の動き
気分は、他人へ伝わらない
③感情……喜 怒 哀 楽 愛 悪の6つ。曖昧な気分を、理解しやすく、言語化し、分類した二種類(明るい・暗い)および六分類
感情は、他人に伝わる
④表出……喜 怒 哀 楽 愛 悪 が表に出る。喜ぶ。楽しむ。怒る。悲しむ。笑う。泣く。
一節 感情は、時間を使って考え、文章に(形式知化)しなくても、気分を表出できる
考えなくても、他者を動かそうとする、原始的かつ動物的な脳の動きが、感情
[例]おむつが不快と泣く赤子。うるさいと怒鳴る大人。食べて飲んで楽しむ仲間。
二節 考えたのちに意思表示するのは、情動に対する、理性の役割
情動 → 気分 → 感情 → 理性の順(第四部に詳しく)
三節 感情と理性の実体は、頭脳
一項 感情(ex.好感、情愛)、気持ち(ex.やる気)、意思(ex.決意)、心理、精神、魂、思考、記憶、すべて、実体は脳。ハート(心臓)ではなく、脳。
二項 楽しいvs楽しくない、面白いvsつまらない、好きvs嫌い、快適vs不快、幸vs不幸…を今、感じているのは、脳
三項 話す口を動かしているのは脳(と神経)。手足を動かしているのは脳(と神経)。人間関係を知るには、脳の働きを知っておくと有利
四節 やる気、安らぎ等の明るい気分も、不安、イライラ等の暗い気分も、脳の神経伝達物質の次第(下記に資料)
【正解のない考える研修】 あなたはABどちらのタイプでしょう?
A)感情で(考える前に)結論を出す感情家タイプ
B)理性で(考えたのちに)結論を出す理論家タイプ
[資料]神経伝達物質(人体に必要な化学物質)の一例
報酬が動機になるドーパミン……報われることで感じる喜び、達成感、到達感、爽快感、期待感。別名・やる気ホルモン
攻防の態勢をとるアドレナリン(身体)……血流等の体機能を緊張させ、身体能力を覚醒させ(ex.火事場の馬鹿力)、攻撃慮力と防衛力を高める、別名・興奮ホルモン
攻防の態勢をとるノルアドレナリン(脳)……攻撃的になり、不安、恐怖、落ち込み等のストレスを感じにくくする、別名・闘うホルモン
気分を落ち着かせるセロトニン……体調と自律神経を整え、免疫力を増やし、感情をコントロールする、別名・幸せホルモン
麻薬といわれるベータエンドルフィン……ストレスや悲しみを鎮め、安らぎ、快感、高揚感を高る、別名・脳内モルヒネ
社交的になるオキシトシン……贈ったり、もらったり、奉仕して、親しい人間関係を築こうとする、別名・仲良しホルモン
精力的になるテストステロン……縄張りを広げる、敵を斃す、戦利品を奪う、冨を増やす、名声を高める等、別名・精力剤
《注釈1/5》
学問の専門書を何冊も読み込むだけで膨大な時間がかかるのに加え、追究する過程で難易度が増すほど、混乱しますので、わかりやすさ優先で、ざっくり、まとめてあります。
《注釈2/5》
上記の他にも、神経伝達物質が60種類あるとも、100種類あるともいわれ、祖述者によってバラバラなれど、とにかく沢山あるようです(不安を和らげるガンマアミノ酪酸GABA、記憶や学習を促進するアセチルコリン、幸せな気分になるペプチドホルモン、ストレスを抑えるステロイドホルモン、メラトニン、ヒスタミン、ニューロテンシン、ソマトスタチン、グリシンetc.)
《注釈3/5》
体内物質の効果効能を、上記の通り、肯定的に解釈すれば、良い意味になりますが(例えば、報われると、ドーパミンが出て、やる気が出ますが)
否定的に解釈すると、体内物質が分泌されなければ、そうならない(例えば、報われなければ、ドーパミンが出ず、やる気が出ない)真逆の意味になります。
《注釈4/5》
2005年前後の脳ブームで有名になったアドレナリンやエンドルフィンは、臓器で分泌されるホルモン ※ でありながら、液性(血液やリンパ液)と、神経性(中枢神経から末梢神経まで)の両調節により、脳で分泌される脳内物質という専門家あり、中枢神経で伝達される神経伝達物質という専門家あり、諸説ありますので、本稿では、わかりやすいように編集してあります。
※ ホルモンとは … 焼肉のこと。ではなく、糖分が体内に入ると膵臓で作られるインスリンや、脳の興奮により精巣で作られるテストステロン等、特定の器官で作られ、液性調節し、別の所で効果を発揮する、生理活性物質のこと
(例:インスリンが出ると、血糖値が下がり、糖の量を正常化する反面、分泌量が異常だと糖の量を調節できず、糖尿病になる)
《注釈5/5》
神経伝達物質の名称は、 学問の専門分野ごとに様々で
- 生理活性物質
- 情報伝達物質
- 化学伝達物質
- 作用物質
- 化学物質
の総称として体内物質、ホルモン、脳内物質とも呼ばれており、各分野の学術に忠実に表現すると、ややこしくなるため、本稿では『体内物質』の四文字で包括しています
四章 感情の特徴はスピード!一瞬でも速く、危険から身を守れ
外からの情報を感受、または、記憶を想起し →よくない(暗い)情報か?いい(明るい)情報か?情動で仕分け → 気分で(喜怒哀楽愛悪を)感じ → 感情で表出するまで、コンマ数秒
一節 速さの目的は、安危の判断
一項 五感から入った外部情報を、考える間もない速さで、よくない(危険)か?いい(安全)か?仕分ける脳の動き
二項 危険に関する記憶を、考える間もない速さで想起し、再度、危ない目に遭わないよう、記憶し直す、脳の動き
三項 理由なく(理由を考えていては手遅れになるため)、感覚的に、無意識あるいは意識的に、安危の情報を探し、一瞬で、よくない(危険)か?いい(安全)か?仕分ける脳の動き
四項 一瞬で仕分けられないとき(情動できないとき)、人は驚く(第三部五章に詳しく)
二節 情動(情報を感受した脳の一瞬の動き)のスピードは、最短で0.1秒
一項 0.1秒以内に、外部からの情報を、体内物質に変え、体内へ放出
(例:短距離走のトップアスリートがスタータのピストル音を聞いた瞬間、体内物質が放出し、0.1秒以内にスタート)※0.1秒ではスタートできないのでフライングというのが医学会の定説
二項 わずか0.1秒では、気分をコントロールできないため、悲しいものは悲しい(落涙する)。楽しいものは楽しい(急に笑う)
三項 悲しいから泣くのが、感情。悲しくて落涙すれども、泣かないのが、感情の抑制。
三節 0.1秒で表出される「感情」の流れ
一項 外界の情報を、脳が、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)で知覚
二項 情動で、よくない(危険)か?いい(安全)か?仕分け
三項 よくない(暗い)ほうへ仕分けられた情報は、怒・哀・悪の暗い気分へ分類
四項 いい(明るい)ほうへ仕分けられた情報は、喜・楽・愛の明るい気分へ分類
五項 六つの気分(怒・哀・悪・喜・楽・愛)は、感情として、外へ、表出が可能。ここに至るまで0.1秒
六項 表出されない気分、表出しない気分は、気分のまま、感情にならず(他人へ伝わらず)
四節 考えなくても意思表示できるよう「危ない」「痛い」「熱い」と脳が言語化
一項 理性で制御可能な感情も、ある。(ex.笑いをこらえる、相手を見て怒る)
二項 感情論は、情動で仕分けた仮処分を、理性で検証することなく、仮説のまま、とり急ぎ、決定する、スピードが持ち味
三項 外部からの情報は、黙っていても、入ってくる。受け容れるかどうか、コントロールできない
たとえば、攻撃に遭遇したら?戦うか、逃げるか、従うか、脳が、まず、感覚的に判断し、のち、理性的に判断する。しかし、感覚的な判断を結論にして、理性的な判断は省くことがある
五章 気分がいいと、体内物質の分泌が促され、生命力が強まるため、人は褒められたがる
ほめるより、ほめられたがる(能動より受動を好む)理由は、ほめられて気分が良くなると、幸せホルモンのセロトニン等、身体や生命を活性化する体内物質が分泌されるため
一節 他人の喜びが、自分の喜びになるとは限らない
他人の喜びが、自分の喜びになる人間関係は(三項参照)あるにしても、赤の他人の場合、反対に、ねたみの元になる場合も(第一部第四章に詳しく)
一項 喜びたい(褒められたい、称えられたいetc.)受動体が、他者を喜ばせる(褒める、称えるetc.)能動体になるとは限らない
二項 喜ばせる(ほめる、たたえる)能動体が、喜ぶ(褒められる、称えられるetc.)受動体になれるとは限らない
三項 他人の喜びが、自分の喜びになるのは、ボランティア
または、喜 楽 愛 の明気分の対象が喜んだとき。(例:我が子が志望校へ合格した時。ひいき選手がスポーツ等で勝った時。応援している著名人が受賞した時。味方の共同体が何か(サークル活動で成功した等)うまくいった時)
二節 肯定するプランを計画的に職場で仕込む(第四部に詳しく)
一項 褒める積極性を、働く人たちの個人任せにしておくと、最良、今のまま、変わらず。
二項 肯定プランが必要かどうか、インタビュー、挙手、アンケート等で現状を把握し、可視化し、共有(第四部に詳しく)
【正解のない考える研修~受動】一か月以内に(職場内で)ほめられたのは何回?いつ?誰から?どこで?何を?どのように?どうして?
【正解のない考える研修~能動】一か月以内に(職場内で)ほめたのは何回?いつ?誰を?どこで?何を?どのように?どうして?
六章 怒 悲 悪の暗い感情が漂う職場は、コミュニケーションの質が危険
コミュニケーションの質とは?人は、ほめられたり、称えられたりする良質なコミュニケーションを本能的に(体内物質を分泌するために)好む反面、つらい、苦しいといった悪質なコミュニケーションを本能的に(体内物質を分泌できなくなるため)嫌う
一節 怒 悲 悪の暗い感情は、悪質なコミュニケーションを増やす
一項 たとえ、気分的に怒っていても、感情には出さないほうが、人間関係を維持する上で無難
二項 否定されると、反省するなり、落ち込むなり、反発するなり、拒否するなり、嫌気が差すなり、時間の経過とともに、不快感が増す
(なので、クレーム処理の鉄則は、一分一秒でも早く、相手の話を聞くこと)
三項 怒った一時間後や、詰った(なじった)翌日等、時間経過による変化を予測せず怒ると、人間関係は悪化する
四項 怒 悲 悪の暗い感情は、怒る側も、怒られる側も、周りの気分も害し、大なり小なり、消沈、落胆、殺伐、ギスギスした暗さが、職場を染める
二節 感情は、さながら、菌や、ウィルスのように、人から人へ伝染する
一項 あくびがうつるように、うつる。うつる理由は不明ながら、人間関係の共感説“ものまね神経ミラーニューロン説”が有力(好きな人を真似る。嫌いな人は真似しない)
二項 両親の喧嘩に遭遇した子供が、空気感染で泣き悲しむように、感受性が強い人ほど、うつりやすい
三項 喜・楽・愛の明情より、怒・哀・悪の暗情ほうが、感染力は強力(インターネットの書き込みを読み自尽する人も)
【正解のない考える研修】
課長にしても、家長にしても、長がイライラしている場のメンバーは、恐れや、不安を感じ、ビクビクすることが、ありませんか?それは何故?
七章 喜 楽 愛 の明るい感情で肯定される職場は、心理的に安全
心理的に安全な職場は、感情的に否定されない安心がある職場。
感情的に否定される暗い職場は、心理的に危険。ただし、理性的な否定は、時に必要。
一節 職場の他人が及ぼす、良い影響
ほめられる等、他人から肯定されると、気分が明るくなり、やる気や元気が出て、生産性が上がる
二節 職場の他人が及ぼす、良くない影響
けなされる等、他人から否定されると、気分が暗くなり、やる気も元気も出ず、生産性が下がる
三節 職場には他の人々がいることを忘れずに
衆目の中、否定され、怒鳴られ、冷たくあしらわれると、非は自分にあっても、居づらくなる。正論が、同僚や部下を追い詰めることもある
四節 肯定的な職場は、精神的に安全
受容的、親和的、意欲的、創造的、建設的。可能性を追求でき、生産性は高まる
五節 否定的な職場は、精神的に危険
攻撃的、圧力的、情実的、政治的、諦観的。やる気は失せ、生産性は低下する
六節 職場の人間関係は、できる範囲で、喜 楽 愛の明るい感情を表出する
できるだけ (性格や価値観によりけりとはいえ) 怒 悲 悪の暗い感情は、封じる
[入門編まとめ] 働く人の明るい気分と、感情は、職場の生産性を伸ばす、無形で購入できない資産。職場の資産を増やそう。
明るい感情(喜 楽 愛)が多い職場は、心理的に安全で、生産性が高まる。一方、暗い感情(怒 哀 悪)が多い職場は、心理的に危険で、生産性は低下(感情を抑制する軍隊式は例)
入門編に続いて初級編のテキスト(原稿用紙18枚・読了まで約18分)も読む→次ページ[初級] 職場仲間の健康と精神を蝕むパワハラへの対策は仲間を否定しないこと