| 付加価値論マーケティング総論/成熟社会のマーケティングのキーワードは付加価値 |
マーケティングを突き詰めると、顧客との取引に行き着きます。
取引へ至る分岐点は2つあり、ひとつが製品の再開発(あるいは新製品の開発)で、もう一つが新市場の開拓です。
新市場の開拓というと分りにくいため、新しい売り方としましょう。
新しい用途を提案することで、今までになかった新しい市場を作り出します。宅配ピザが典型的です。
どちらも、新しい価値を創造するという点で共通しているため、マーケティングは、新しい価値の創造といえます。
その、新製品の開発にしろ、新市場の開拓にしろ、いろいろなマーケティングの現場に携わってきて思った結論は
「どれも付加価値」
ということでした。
たとえば、別ベージで紹介したハーゲンダッツのインサイトも、ハーゲンダッツというアイスクリームの付加価値。
アイスクリームは、アイスクリーム以外の何ものでもありません。 |
売れ行き順調な朝専用の缶コーヒー(アサヒ飲料のワンダは販売目標を前年比123%の3,500万箱に上方修正)
も朝専用という付加価値製品。
朝専用であっても、缶コーヒーは缶コーヒー以外の何ものでもありません。
しかし、朝専用にするだけで売れました。 アイスクリームを超えるアイスクリームはありませんし、缶コーヒーを超える缶コーヒーもありません。
そうなると、戦略としては、ベースとなる製品に付加価値を加え、付加価値製品
を創り出すか、販売方法を付加する方向性が手っ取り早いのです。 |
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こうも社会が成熟してくると、基本的な商品は出揃い、無いものなどは無いといってよく、たとえば饅頭を上回る饅頭はありませんが、政治家をキャラクター化した「純ちゃん饅頭」は2年間で30万個が売れ、「晋ちゃんまんじゅう」は37万個が売れました。
これは、画期的な饅頭が生まれたからではなく、政治家をキャラクター化する付加価値の勝利であったことは言うまでもありません。 このように、大福を上回る大福は無いが、イチゴが入ったイチゴ大福は大ヒットし、餡子が入ったアンパンは、パン商品の中で不動の地位を築いていいます。どれも付加価値です。 |
付加価値マーケティングの選択論、
「消費者は選択者になった」
について、他に幾つか挙げてみましょう。
航空券を選ぶとき、肝心の航空会社で選ぶより、マイレージのポイントで選ぶ利用者が多いのは、旅客機では
差別化できなくなったため、付加価値で選ばれている証拠。
ファーストクラスは、快適というエモーショナル・ベネフィットが付加価値になった商品。
もともとはファーストクラスしか無かったため、どちらかというとエコノミーやビジネスクラスが付加価値です。 |
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時計を上回る時計は存在しませんが、「正確な」という付加価値がついた時計は売れました。電波時計です。
時計売場へ行けば分りますが、電波時計のみといっていいほど電波時計が並んでいます。
これからの時計は、電波時計が主流になるようです。付加価値商品の主流化です。
時計では、ソーラー時計も付加価値です。
電池を交換する「手間いらず」という価値が受け入れられました。
私事で恐縮ですが、筆者の腕時計もソーラーで、しかも電波時計なので、壊れるまで正確な時を刻みます。
面倒くさがりの筆者には、この上なく有り難い腕時計です。 |
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炊飯器も同様に、炊飯器は、どこまでいっても炊飯器ですが、これが炭火炊となると、十万円以上の価格にも関わらず順調に売れているようです。
緑茶も、緑茶のままでは、緑茶ですが、緑茶の高濃度カテキンにフォーカスしたヘルシアは、飲料としては高めながら、大ヒットした。
これも緑茶の付加価値です。 |
使い捨てコンタクトレンズは「使い捨て」という付加価値。
有名作家の絵画には、投機という付加価値があります
キャラクター付き商品も付加価値だし、ホワイトニングも歯科治療の付加価値。
エアコン(クーラー)も然り。省エネという付加価値がスタンダードになりつつあります。
調理シーンを一変させた電子レンジも、電子レンジ以上のレンジはありませんが、油を落とす電子レンジは大ヒット。
まだあります。
おまけ付き菓子、本になったメルマガ、製氷機付き冷蔵庫、カメラ付き携帯電話……
売れる商品の秘訣は付加価値にあります。 |
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マーケティングの華というと、キャンペーンガールを使ったキャンペーン等のプロモーション活動を連想しがちですが、マーケティングの華は商品戦略です。
商品戦略というと、どうしても画期的な新商品を想像してしまうためか、とくに中小零細企業は尻込みしてしまう傾向にあります。
そこで、新製品にしろ、用途提案にしろ、結局は「付加価値なんだ」と考えれば、肩の荷が楽になって、自由に発想できますよね。 |
たとえば、おむつ。
お漏らしするのを防ぐには、おむつしかありません。
そこで、布おむつに対して、紙を使うことにより、使い捨てという価値が付加された紙おむつという新しい製品が
誕生しました。
紙でいえば、トイレットペーパーも付加価値商品です。
高度経済成長期の前までは、チリ紙しか世の中にありませんでしたが、高度経済成長とともに、トイレットペーパーが普及し、今ではチリ紙のほうが珍しくなり、チリ紙交換くらいしかその名をとどめなくなりました。
今では日用品として定着したティッシュペーパーも、本来は、チリ紙の付加価値でした。ティッシュペーパーは、化粧品落としを日用品に用途提案した製品だったのです。 |
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このように、付加価値をキーワードにして「新しい価値の創造」を考えてみると、成熟社会のマーケティングは付加価値マーケティングであることが分かります。
付加価値マーケティングは、特に商品開発に馴染みの薄い非メーカーや、中小零細企業にとって、学問としてのマーケティングとは異なり、とてもわかりやすく、すぐに導入しやすい利点があります。
付加価値を見出す方法は、商品の徹底した見直しです。それには、顧客のインサイトを探ることです。
あなたも、付加価値の視点から、商品を見直してみては如何でしょう?
きっと、そこに現状を打開する新しい価値が潜んでいます。 |
| (小笠原昭治/筆) |