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無料から有料へのアップセル/お金を払うから、もっと!
1)FtoF
アップセルとは、ワンランク上の製品やサービスを販売すること。寿司の松と竹と梅が好例。
FtoFとは、
BtoB(ビジネス トゥ ビジネス/企業と企業の取引)
BtoC(ビジネス トゥ コンシューマー/企業と消費者の取引)
BtoE(ビジネス トゥ エンプロイイ/企業と雇用者の取引)
CtoC(コンシューマー トゥ コンシューマー/消費者と消費者の取引)
に続く略語ではなく、Free to Fee(フリーtoフィー)「無料から有料へ」の略です。
無料のサービスで集客し、価値を理解してもらい、利便性の高いサービスは有料にして、販売する方法です。イメージとして、有料と無料の上下二層構造になります。
最大のメリットは、集客しやすいこと。無料ですから、利用者はリスクなく試せます。
無料のまま利用し続けることも可能ですが、リスクが無いため継続し易く、深みにハマると、費用を払ってでも、アップグレードしたいというウォンツが発生します。そこで課金。
最初は、ビタ一文たりとも支払うつもりがなくても、ハマってしまえばこっちのモン(笑)という仕組み。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
例を挙げましょう。インターネットではFtoFが当たり前になっています。
無料で、ホームページやブログを公開できるサービスには、広告が表示されます。広告を消すには、年間で数千円のフィーが必要になります。
オンライン・ゲームも無料。
無料で充分に楽しめますが、さらに楽しむには、各種のアイテムを有料で購入することになります。これは、アバターのアクセサリーや衣装も同様。
ホームページの容量や、オンライン・ストレージは、基本容量に課金されずに使えますが、容量が足りなくなったとき、増やしたい場合の追加分は有料。
ウィルス駆除ソフトも然り。
無料で診断・駆除できますが、ファイアーウォールを付けて機能を強化するには有料。
どれも、ご存知の例ばかりだったでしょう。それだけ、身近に転がっています。それがマーケティング。
FTO(フリー・トライアル・オファー)に似た仕組みですから、インターネットのみならず、普通の商品にもFtoFは
あります。
スーパーマーケットで、美味しい水が無料なのも、ショッピングモールで駐車場が無料なのも、来店して欲しい
からで、来店しさえすれば、買い物する機会が拡大するからです。
無料の携帯電話は、持ってしまえば、つい使って、料金が発生するからです。無料で販売しても、ユーザー登録
さえ済ませば、メーカーからインセンティブが出ますから、儲かる仕組みになっています。
クレジットカードの年会費が無料なのは、加盟店から販売手数料が入るからですが、年会費を有料にして特典を
増やすこともできます。
このように、無料で使い続けることができるのは、有料との二段階層になっているからです。
2)ヘビーユーザーに課金する仕組み
あなたが無料のメルマガを読んでいるとしたら、そこにもフリーtoフィーが用いられています。
発行者からしてみますと、たとえば、まぐまぐからメールマガジンを発行するのは無料ですが、09年10月21日よりヘッダに広告が自動挿入されるようになりました。
メルマガ発行者が、ヘッダの広告を外すには「有料配信メニュー」という有料サービスに申し込んで2,500円+税/月を支払わなければなりません。
「有料配信メニュー」に申し込むと、ヘッダとフッタの広告が外れる他、まぐまぐのホームページで上位表示されるようになります。要するに、読者数が増えやすくなります。
以前は筆者も何度か試してみましたが、読者増にならなかったので、それ以来「有料配信メニュー」は見向きもしませんでした。
しかし、メルマガ読者の立場になってみれば、メルマガのヘッダに広告が挿入されてあると一瞬「スパム・メールか?」と勘違いしやすい可能性があるので、数年ぶりに「有料配信メニュー」に申し込み、ヘッダの広告を消そうと思ったら、
「クレジットカード払いのみ受け付け」
とのこと。
以前は銀行振り込みでも構いませんでした。なぜ今になってカード払いに限定するようになったのでしょう?
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
これは、定期収入を狙った立派なテクニックです。
.カードだと、いつの間にか引き落とされて、気づかぬうちに払ってしまうものです。それが数万円なら気づきますが、月2,500円は公共料金よりも安い。
「それくらい解除するのも面倒」
とばかりに、放っておいて、解除するのを忘れていると、いついつまでも自動的に引き落とされます。
ということは、ヘッダに広告を自動挿入することによって、仮に、10,000人のメルマガ発行者が「有料配信メニュー」に申し込んだとしますと、2,500万円の新しい売上が、毎月きちんと自動的に入ってくることになります。
現実解としては、メルマガ発行総数の1〜2%にあたる300から600。売上にして75〜140万円くらいでしょう。
「毎月きちんと入る保証がドコにある?」と思われがちですが、有料配信メニューを利用しているのは、おそらく、
・発行年数が長い(発行するメルマガに愛着を持っています)
・発行部数が数千以上(メルマガを発行する手応えを感じています)
・精読率が高い(読者からの信頼が厚く、メルマガ名がブランド化しています)
というヘビーユーザーに多いでしょう。そのような発行者は、簡単にメルマガの発行を止めません。
だから、毎月きちんと入ってくると予測されます。
FtoFは、ヘビーユーザーに課金する仕組みなのです。
ちなみに、筆者もメルマガを書いていますが、そのような(見やぶった)テクニックには引っかかりません(笑)
(ページ半分まで読みました)
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3)FtoFが使える商品
フリーtoフィーは、インターネットに多いように、無形の商品に適しています。リアルでは、どんなサービスに適用できるかアイディアを出してみましょう(現実に存在するかどうか知りませんが)
・レッスンのクラス
初級クラスのみ無料。初級のままでもいいけれども、上達して、上級のクラスを受けるには有料
・月刊誌
季刊のサンプルは無料。年4冊のサンプルだけでも楽しめますが、年間購読は有料
・病院や歯科
診察だけなら何回でも無料。治療や投薬は有料。
・予備校や塾
授業は無料。授業2回につき1回の実力テストは有料
・士業
相談だけなら何回でも無料。実務は有料。
・美術館
有名な作品が展示してあるエリアは有料
・映画館
映画を見るぶんには無料。席に座るなら有料
・有料テレビ放送
無料のままでも視聴可能ですが、もっと多くの番組を楽しむ、あるいは長時間を視聴するなら有料。
・居酒屋
料理は無料。酒は有料。
・飲食店
料理は無料。手づかみなら食べ放題。しかし、箸の利用は有料(笑)
・鍋料理
30分間は無料の食べ放題。鍋が沸いてくる30分後から有料(大笑)
だんだん冗談ばかりになってきたため、このあたりでアイディアは終了(笑)
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
4)FtoFのポイント
FtoFを用いるポイントは3つあります。
「えー!これで終わり?お金を払うから、もっと」
というニーズやウォンツが、有料によって叶えられるようにすること。
そのためには、どんな利便性が高まるか、分かりやすく提示する必要があります。それがなければ、無料で楽しむだけに終わってしまいます。
「お金を払えば、もっと楽しめる」
という期待がFtoFには必須。もっと楽しめる方法を教えてあげましょう。
次に、「お金を払ってでも、もっと」というニーズやウォンツが、どこに潜んでいるかを調べること。
たとえば、ユーザー・コミュニティ等を見ると
「こうしてほしい」
という要望が渦巻いています。FtoFを企てるためのヒントが満載。
そうした情報を得て、それらの要望を叶えられるFtoFを企画することです。
最後に、継続性。FtoFは、一回きりのサービスよりも、継続して利用するサービスに有効。
FtoFをビジネスモデルにするならば、現在「無料で当たり前なもの」を探すといいでしょう。メルマガが典型的です。
(駆け足になりますが)FtoFの失敗例も挙げておきましょう。
2009年8月30日に放送された「仮面ライダー・ディケイド」の最終回は戦闘中のシーンで終了。尻切れトンボです。
その直後、映画版「仮面ライダー・ディケイド」の告知が流れたため、視聴者から、
「続きは、映画館で、チケット代を払って見ろということか」
と苦情が殺到したそうです。
この事態は新聞報道され、放送倫理番組向上機構で審議される騒ぎになりました。
FtoFは、あからさまだと嫌われます(笑)
利用者の便益を損なうFtoFは、単なる「無料の有料化 (Free charge)」になります。
くれぐれも、利用者の便益をお忘れなく。
タダより入りやすき門は無し!
 (小笠原昭治/筆)
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