| 商品の価値を上回る付加価値の作り方/体験済みだから価値が分かる |
食事を例に取りましょう。
私たちに食事は不可欠です。睡眠中でも、基礎代謝量のカロリーを消費します。
ということは、おいしいマズイ以前に、食事の本質は、生命の維持にあります。
食糧不足は生死に関わります。食糧難に苦しむジンバブエ等の国々では、食べられさえすれば満足。
約60年前の戦後日本と同様に、食べる=満足です。
食べることが満足だった日本は、やがて高度に経済発展し、豊かになりました。
豊かになると、食べる=満足…ではなく、おいしい=満足…になります。
ラザニアやティラミス等、平安時代の天上人さえ見たことも聞いたことも無い食べ物が一般へ普及し始めました。 |
さらに、成長社会が熟してくると、食事は、美味しくて当たり前になりました。成長社会では当たり前だった、
おいしい=満足
の等式さえ危うくなりました。
俄然、美味しいだけでは満足しなくなり、美味しさを上回る価値が求められるようになりました。
美味しさ(当たり前の価値)にプラス付加価値です。これが、成熟社会の現在・日本。 |
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つまり、生命維持を目的とした根源的な欲求である「食べたい」は、「美味しいものを食べたい」へ進化し、その欲求も満たされ、食べ物は「美味しくて当たり前」へ進化。このように欲求は進化し続けます。人の欲には限りがありません。
おいしいの次の段階は「珍しくて高価なもの」へ進むことでしょう。
現在は、美味しい食べ物に付加価値が求められています。
それを味に求める方向もあれば、味以外に求める方向もあります。 |
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では、どのように「美味しさの付加価値」を探せばよいのでしょうか?
付加価値マトリクスの4つの方向性にあてはめるだけで導き出せます。
たとえば、マトリクスの中心に「おいしい食事」を配置すると、 |
[方向性-1] 新価値 新メニュー→新商品の開発
もっと美味しい味→調理の追究
もっとおいしい素材→素材の追究etc. |
[方向性-2] 付属価値
スピード→オペレーションの改良
量→什器購入とメニューの改定
テイクアウト→テイク用の什器や、持ち帰り袋の購etc. |
[方向性-3] 別価値
レトルト化→新商品の開発
レシピ化→出版etc. |
[方向性-4] 逆価値
接客→接客トレーニング
雰囲気→改装etc. |
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もちろん「美味しい食事」が、料亭のそれなのか、ファーストフードなのかで、導き出される価値が異なることはお分かりになるでしょう。
誰へ対する商品か?でターゲット(食べる人や市場)は異なります。
同じカレーでも、スタンドカレー店と、インド料理店では、商品の質が異なるように。 |
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戦略的に…というと漠然としていて解りづらいときもあるでしょう。そういうときは具体的に考えてみましょう。
具体的に…とは、「おいしい」と感じた瞬間は、どういう瞬間か?自らの経験に照らし合わせてみましょう。
または顧客からヒアリングしてみましょう。
付加価値(プラスα)マーケティングの思考法に照らし合わせると、
戦略→戦術→戦法→戦闘=垂直落下式
の風上(戦略)から考えるのではなく、風下(戦闘)から考えるのです。
実際に、やってみましょう。「おいしい」と感じた瞬間は? |
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1 熱々…だから美味しいと思った。
2 体に良い…から美味しいと思った。
3 外で食べる…から美味しいと思った。
4 思い出の味…だから美味しいと思った。
5 値段が高い…から美味しいと思った。
6 久しぶりに食べた…から美味しいと思った。
7 できたて…だから美味しいと思った。
8 真心こもった…料理だから美味しいと思った。
9 食べたかった…から美味しいと思った。
10 素材のいわれ…を知ったから美味しいと思った。
11 自分で作った…から美味しいと思った。
12 おいしいの一言…を言い交わしたから美味しいと思った。
13 珍しい…から美味しいと思った。
14 手塩にかけた…料理だから美味しいと思った。
15 食事の会話…が楽しかったから美味しいと思った。
16 音楽…が心地よかったから美味しいと思った。
17 絵や花…があったから美味しいと思った。
18 食べる相手…が良かったから美味しいと思った。
19 リラックス…したから美味しいと思った。
20 家族が揃う…から美味しいと思った。
21 食器…が良いから美味しいと思った。
22 マナー…を気にせず自由に食べられて美味しいと思った。
23 一人…ではなく、誰かと一緒に食べたから楽しくて美味しいと思った。
24 この歳…だから美味しいと思った。
25 食材が良い…から美味しいと思った。 |
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いかがです?
「あ、そういえば、そういうときに、美味しいと思った経験がある」
と、思い当たった項目がありましたか?それが料理の付加価値です。 |
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抜粋すると、たとえば、
熱々…も味のうち
できたて…も味のうち
素材のいわれ…も味のうち
ということは、熱々にフォーカスして追究していけば、宅配ピザの発想が生まれても不思議ではありませんね?
マーケティングを知ると、宅配ピザのように、まず初めにUSPありきで考えがちですが、それは成功事例としての結果。(USP=ユニークな売り方)
始まりは、使用シーン=現場にあります。すべては欲求から発します。 それを追究し、解明するところから、付加価値商品が生まれます。 |
商品のみならず、筆者が体験した限りの飲食系プロモーションには
「できたて」
「作りたて」
「採りたて」
といった殺し文句があります。「〜たて」です。
できたて…も味のうち
ということ。これに人は興味をおぼえます。
以上のように、付加価値は、身の回りに転がっています。 |
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上記の25項目にしても、どこにでもありそうな項目ばかりですね?
どこにでもありそう…ということは、既に体験済みということです。つまり、素人でさえ、身の回りに付加価値が転がっていることを知っています。
その道の知識と経験が豊富な飲食のプロならば、もっと考え出せるでしょう。
あなたも、その道のプロとして、誇りと自信をもって仕事に就いているはず。だったら、付加価値の25項目くらい容易に考え出せるはず。
付加価値を考え出しましょう。付加価値が、商品の価値を上回る価値になります。 |
| (小笠原昭治/筆) |