| オズボーンのチェックリストとスキャンパー/商品開発の発想法 |
1)Osborn's Checklist
マーケティングにお詳しい方々には周知の「オズボーンのチェックリスト」
戦後すぐの米国で広告代理店を経営していたアレックス・オズボーン(Alex. F. Asborn)が創案した発想法です。
(ご存知の方々も多いと思いますが)彼の考案した9カ条を挙げてみましょう。 |
| 1 |
Other uses/アザー・ユース |
別用途 |
他に用途は? |
| 2 |
Adapt/アダプト |
適合 |
他にこのようなものがあるか? 過去に匹敵したものは何か? |
| 3 |
Modify/モデファイ |
変更 |
色、音、匂い、意味、動き、形など、新しいアングルは? |
| 4 |
Magnify/マグニファイ |
拡大 |
大きさ、時間、頻度、高さ、長さ、強さを拡大できるか? |
| 5 |
Minify/ミニファイ |
縮小 |
より小さくできるか?携帯化できるか?短くできるか?
省略できるか?軽くできるか? |
| 6 |
Substitute/サブスティテュート |
代用 |
他の材料、 他の過程、他の場所、他の誰か、他のアプローチ、
異なった成分など、他の何かに代用可能か? |
| 7 |
Rearrange/リアレンジ |
再配列 |
要素、成分、部品、パターン、配列、レイアウト、位置、
ペース、スケジュールの変更は?原因と結果は交替可能? |
| 8 |
Reverse/リバース |
逆転 |
逆にできるか?
正反対にできるか?
後方に移せるか?
役割を逆転できるか?
ターンできるか?
反対側を向けられるか?
マイナスをプラスに逆転できるか? |
| 9 |
Combine/コンバイン |
結合 |
目的や考えを結合できるか?
一単位を複数にできるか?
組み合せられるか? |
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| 有形の商品を開発する場合に用いられますが、価値を再開発する目的で、無形の商品を再構築する際にも活用可能です。 |
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2)SCAMPER
オズボーンに遅れること約50年後、ボブ・イベールは、SCAMPER(スキャンパー)という発想法を著しました。
SCAMPERとは、7要素の頭文字を繋げた造語です。 |
| S |
Substitude |
代用できるか? |
| C |
Combine |
結合できるか? |
| A |
Adapt |
適合できるか? |
| M |
Modify |
変更できるか? |
| P |
Put to other users |
別の用途は? |
| E |
Eliminate |
削除できるか? |
| R |
Reverse |
逆転できるか? |
|
一見すると、オズボーンのチェックリストの中から7つを選出し、7つの頭文字をつなげて造語化しただけに思われますが、スキャンパーの特徴は、7つのキーワードを、更に細分化して、48の質問にしたことです。
お知りになりたい方は、ボブ・イベール(著)SCAMPERを御覧ください。
「英語の本は読めねー」という方のために(笑)SCAMPERの48の質問を掲載しているサイトを紹介しておきますので、ご参照のほどを。
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0804/15/news007_2.html
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0804/15/news007_3.html |
3)不便逆説
オズボーンのチェックリストにしても、イベールのスキャンパーにしても、これを活用して、新製品や新コンセプトを発想できる人は、いいでしょう。
残念ながら、筆者には難しく、いちいちリストをなぞっていては、リストのチェックになってしまい、かえって発想の邪魔になります。
もう一つは、9つなり7つなりのキーワードを覚えるのが煩わしいからです。計算式を丸暗記するよりも、計算式の意味を知るほうが、筆者には合っています。
そこで、筆者が使っている「不便逆説」をご紹介します。
拙著「売り込むな!期待をくすぐれ!」142ページにも載せましたが、考え方は単純で、不便に思うこと探し出し、便利にしてしまうだけです。
例を挙げましょう。「待ち時間が長い」のが不便に感じるようなら、 |
| 1 |
待ち時間を |
短くする |
| 2 |
待ち時間が |
短く感じるようにする |
| 3 |
待ち時間を |
ゼロにする |
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| のように、不便な「長さ」を逆に「短く」することで、「短さを、どうするか」を考え、不便を、便利にしてしまいます。これが付加価値であり、コンセプトになります。これを病院を当てはめると、 |
| 1 |
待ち時間を短くするには |
予約制 |
| 2 |
待ち時間が短く感じるようにするには |
本や雑誌の常設 |
| 3 |
待ち時間をゼロにするには |
往診 |
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| 病院には、予約制も、雑誌も、往診もあります。が、ここで終わるようではマーケティングではありません。 |
| (ページ半分まで読みました) |
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4)不便逆説の使い方
Step1 不便なものを見つける(何が不便か訊く)
Step2 それを逆説してみる(不便を解消する)
Step3 便利にする(便利になったかどうか訊く)
たったこれだけ。
呆気に取られるほど簡単です。
強みと弱みにも書いた通り、人は、長所を見つけるより、短所を見つけるほうが得意ですから、不便な短所を見つけるのは容易。SWOTでいうところの弱みです。
それを逆に考え、便利にしてしまいます。SWOTでいうところの強みです。
これが、
「強みが見つからなかったら、弱みを見つけ、強みに変える」
方法です。 |
5)お金を払う人の立場・受け取る人の立場
不便を逆説するのは、禅問答のようですが、空に似ています。雲上には、雨も曇りもなく、光り輝く太陽あるのみ。
雨や雪に一喜一憂するのは、雲が下に住む人々であって、雲の上の空には太陽の温光が365日かわらず降り注いでいます。一口に“空”といっても、雲の上と下では、まさに雲泥の違い。
これと同じように、いかに付加価値の作り方がカンタンであっても、付加価値は、業界の中にいると見えにくいもの。
顧客にとって、不便なことが、不便に感じられないからです。
病院に勤務する人にとって、病院は「薬くさくて当り前」ですが、来院患者にとっては「臭い」場所です。臭いのだから、好ましい場所ではありません。
しかし、どれほど患者重視の病院経営者であっても、院内の看護師へ、
「薬臭いと思う?」
と訊いたところで
「そんなことはありません」
という身内の意見が返ってくるでしょう。
それでは業界外へ訊いてみようと、製薬メーカーのプロパー(販売員)へ訊ねても、同じ答が返ってくるでしょう。
中には「病院は薬くさくて当り前です。これが病院の匂いです」という太鼓持ちがいるから、裸の王様になるのです。 |
ましてや医師に対して「どう思うか」訊くなど論外。病院は、医師にとって、職場です。患者における立場とは根本的に異なります。患者にとっては職場でも納入先でもありません。
病院を、雲の上から見るか、雲の下から見るかによって、見える風景は白と黒ほどに違います。
業界内の発想では、堅い長椅子が無機質に並ぶ待合室に「患者を待たせておく」のが当り前。
しかし、業界外から見ると、ホテルのロビーのような待合室に、図書館レベルの蔵書が並んでいたら、はたまた、絵画や書画が飾ってあったり、お茶を飲めるラウンジが併設してあったら、ご高齢の患者でも、待ち時間が苦痛にならず、
少なくても軽減されるでしょう。
すべては、人が人へ対する心配りから始まります。
高齢化の社会を迎え、病院は、そう変わっていくのでしょうか。それとも「我は先生なり」のままでしょうか。 |
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6)業界の外だから見える価値
病院と患者、商店と来客、弁護士と依頼人…両者の温度差は、業界の中にいるか外にいるかによって異なります。
新しい付加価値を創り出すには、業界の因循固陋を打破するのが手っ取り早いのですが、業界は手強いし、業界の風に染まっている自分と自社を客観視するのは、カンタンなようで難しいもの。
業界の常識は、顧客の非常識ですが、顧客の常識は、業界の非常識なので、業界サイドにいる限り
「そんな非常識=顧客の常識は認められん」
という、その頑迷姑息な立場にしがみつく限り、付加価値は見つかりません。 |
業界を守る立場からは、まるでマジックミラーのように、顧客の姿は見えません。
一方の顧客からは、業界の姿が丸見えになっています。
便利なところも、不便なところも見えています。見えているけれども、気づかずにいることもあります。 |
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付加価値を見つけるには、業界の外から聞こえる音に耳を澄ませることです。
それは顧客の意見にも、友人の意見にも、筆者のようなマーケティングのプロの意見にも(ここまで述べてきたように)あります。つまり、プロには見えにくいものが、素人には見えています。
そこに「不便に思っている」何かがあります。その不便を逆説するだけでいいのです。
お宝は、業界の内側からは見えづらいものですが、外から見えているものです。 |
| (小笠原昭治/筆) |