| 便益核・コアベネフィット/顧客にとっての便益 |
コア・ベネフィットとは?
「人は、ドリルが欲しいのではなく、穴が欲しくてドリルを買う」
つまり、ドリルのベネフィット(便益)は、価格やデザイン、扱いやすさ、軽さ重さ、材質、ブランドといった周辺(フリンジ)ベネフィットの中核に位置する、
「穴を開けること」
がドリルの中核(コア)なベネフィット(便益)ということ。核(コア)であることから“中核ベネフィット”とも“中核便益性”ともいいます。要するに、商品がもたらす便益性の核。
故レビット教授が書いたベストセラー「マーケティング発想法」の中で、レオ・マックギブナ(という人。氏名以外の情報は皆無。おそらく、ドリルメーカーかホームセンターの経営者)が、
「昨年、1/4インチ(6.35 ミリメートル)のドリルが、100万個売れた。が、これは人々が1/4インチ・ドリルを欲しがったからではなく、1/4インチの穴を欲しがったからである」
と言ったと紹介されています。これが「ドリルを売るなら穴を売れ」ということです。 |
メガネにあてはめてみましょう。
メガネを買う人は、レンズやフレームといった物体が欲しくて買うのではなく、視力を補うために買います。
「よりよく“見える”ようになりたい」
と思って
「よりよく“見る”ために」
買います。
レンズの大きさ、厚さ、軽さ、フレームのデザイン、材質、価格、ブランド、メーカー名、小売店等は二の次、三の次。
つまり、コア・ベネフィットとは、製品(商品)によって具現化される便益性=ベネフィットの核を指します。
コアの周りを取り囲むフリンジ(周辺)ベネフィットとして、価格で選んだり、フレームで選んだり、ブランドで選んだり
するわけです。 |
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そう考えると、ベネフィット(顧客にとっての便益、利便、得、恩恵)を突きつめれば、商品(製品やサービス)さえも付加価値になります。
ということは、私たちは付加価値を売っていることになります。
ここに、付加価値=製品(商品)を、真の価値(リアルバリュー)と思い込んでしまう危険な落とし穴が潜んでいます。 |
メガネの例を続けると、メーカーや小売店は、メガネこそ価値ある製品(商品)だと思い込んでしまいます。
商品を売って生計を立てているのですから、無理からぬことです。
しかし、商品こそ価値と思い込んでしまえば、メガネという製品(商品)が、すべてにおいて優先される考え方
=製品優先主義に染まります。
顧客満足を社是に掲げている企業の皆さんは、目を皿のようにして読んで下さいね(笑)
製品優先になると、本来は、プライオリティ第一位であるはずの“顧客(使う人)の利便性”は置き去りにされ、
自然な成り行きで、顧客よりも製品が優先され、顧客不在に陥ります。
これが、先ず製品ありきの“プロダクト・アウト”発想。 |
プロダクト発想が間違いというわけではありません、プロダクトアウト発想だからこそ生み出された商品は
数限りなくあります。
たとえばポストイットは、顧客の要望に応えたものではなく、粘着力の強い糊を作ろうと研究している最中に
粘着力の弱い糊が出来てしまったので「それなら何度でも貼って剥がせる付箋を作ろう」とメーカーが独自に
作り出しました。それが世界的に大ヒット。こうした製品は枚挙に暇がありません。 |
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一方のマーケットイン発想は、すべからく“顧客の便益性”から考えます。
フリンジ(周辺)ベネフィットと、コア(核)ベネフィット”です。
メガネのユーザーは、商品が欲しいのではなく、視力が高まるならば、目薬でも、コンタクトでも、眼科でも、眼球体操でも、何でもいいのです。、
あなたが生計を立てるために“商品”を売っているのか、それとも顧客の“便益性”を売っているのか、どちらにしても、
『お客さま第一』
や
『顧客優先主義』
等を企業理念や社是に掲げているのであれば、顧客の“利便性”を売って然るべきですよね? |
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では、あなたの会社の商品(製品やサービス)のコア・ベネフィットは何でしょう?
しっかり理解していて、それを10秒で言えますか?
10秒で言えるほど凝縮されてあれば、広告やチラシや営業トークに使えます。つまり、売る活動ができます。
つまり、顧客の心を突き刺し、顧客を動かす営業活動が展開できます。
紹介にも通じます。たとえば、新規客を紹介してほしい時。製品を軸に、
「メガネを欲しがっている人がいたら紹介して下さい」
だと、紹介を依頼された側は、誰かメガネを欲しがっている人がいるかどうか、意識調査から始めなければなりませんよね?「メガネが欲しいよぉ」と口癖のように言っている人なんかいませんから(笑)
とはいえ、
「欲しい?」
と、ヒアリング調査してまで紹介してくれる人は皆無でしょうから、
「そういう話が出たら」
という、かなり可能性の低い紹介になってしまいます。製品を軸に紹介を依頼すると起こりがちな現象です。
それ以前に「欲しい」と思っている人は、とっくに自分で作っているはず。
「欲しがっている人がいたら」なんて紹介の依頼は遅きに失します。 |
それならば「見えるようになりたい」というメガネのコア・べネフィットを軸に紹介を依頼してみてはどうでしょう?
たとえば、
「目が見えにくくなったとコボしている人がいたら紹介して下さい」
だと、紹介を依頼された側は、
「そう言っている人がいたら、紹介すればいい」
ということを容易に理解できます。どういう人を紹介すればよいのかイメージしやすくなります。 |
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実際、老眼にしても、近眼にしても、メガネが欲しいと思う前に、
「なーんか、目が見えにくくなったなあ」
と思うもの。
視力が落ちたから、視力を高めたいという欲求は、メガネという物品を欲するよりも先に感じますし、感じたことは口に出せます。口に出た言葉は伝わります。(暗黙知の形式知化)
よって、製品を軸に紹介を依頼するよりなら、ベネフィットを軸に紹介を依頼する方が紹介される可能性は高まります。 |
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余談ですが、マーケティング会社を経営してきた筆者なら、
「メガネをかけている人がいたら紹介して下さい」
と持ちかけます。
紹介を依頼された側は、メガネをかけた人の顔を想起するでしょう。映像の印象は強烈。もしかしたら、その場でスグに紹介してくれるかも知れません。
現に今メガネをかけているユーザーですから、視力が変わったり、メガネが壊れたりして、かなりの高確率でメガネを作り直すことが予測されます。そんな現ユーザーを私なら狙います。
もちろん、スグには売り込みません。
紹介されたら、第一次接触から始めて、接触を継続し、ブランド・スイッチの時期を待ちます。
たぶん、以前にメガネを作った店では、そうした営業視点に乏しいでしょうから、その時期が来れば、売らずに売れるというものです(笑)、熟柿が落ちるように。
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こうしたコア・ベネフィットの考え方は、紹介のみならず、チラシ等の広告にも通じます。
メガネの折込チラシを見ると、だいたい
「半期に一度のメガネ祭り」
というタイトルで、安値とフレームだけがズラーッと載っていますね?
安値とフレームは周辺ベネフィット。コアではありません。
それに「祭りって、どこで祭りが開かれているの?また、いつもの、売りたいばかりの、決まり文句?」とウンザリさせてしまいます。(参考ページ:ブッ飛びチラシの作り方)
そうした周辺ベネフィットで売るのではなく、筆者ならば、
「このチラシ、見えづらくありませんか?」
と、チラシを視力のテスト用紙にして、
「このCは上下左右、どちらに向いていますか?」
と10問訊ねるとします。
「10問中、5問以上を間違えた場合は、一度、当店へお越し下さい。10問中10問が正解になるメガネを無料で調整」
と、無料相談を来店動機にします。
来店してしまったら、こっちのもの(笑) |
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上記の話は、紹介のみならず、パンフレット作りにもダイレクト・メールにも電話セールス(正確にはアウトバウンド)にも通じます。
メガネの他に、別な業界に例を求めるとしたら、たとえばハウスメーカーが、パンフレットやダイレクトメールを使って
「増築しませんか?」
と提案営業したところで、
「おお!そりゃイイ!増築しよう!」
と即決に至るなんて皆無に等しいでしょう。提案された顧客側は先ず、
「どうして、増築する必要があるの?」
「増築して、何の得があるの?」
「増築して、何か嬉しいことがあるの?」
という疑問が浮かぶか、そうした質問を返すはずです。余計な出費は願い下げですからね。
そのとき、
「お宅を増築すれば、当社が儲かります!だから増築しましょう」
なーんて間抜けなことは、口が裂けてもいうはずありませんが(笑)、そのハウスメーカーで増築するコア・ベネフィットを即座に言えなければ、受注など覚束(おぼつ)きません。だから、10秒に(30秒まででしたら構いませんが)凝縮しておく必要があるわけです。端的に、
「かくかく、しかじかなので、増築すれば、得ですよ?」
と持ちかけられると、
「ん?そんなにイイ話なら、ちょっと話を聞いてみようか」
と門戸が開かれ、そこから営業活動が始まります。 |
ここまで、メガネやハウスメーカーを例示してきましたが、では、あなたが売っている製品(商品)のコア・ベネフィットは何でしょう?
いつ、どこでも、瞬時に言えるよう理解していますか?
偶然、エレベーターに乗り合わせた、会いたくて仕方なかった見込客(新規のお客さんになって欲しい人)に、乗っている間の実質10秒間で話せますか?
もしも、あなたが売っているものの「何が良いのか」を言葉にできなければ、
1 自分(たち)で考える
か
2 調べる
か
3 誰かへ訊く
つまり、考えるか、調べるか、訊しかありません。選択肢は3つです(他にあるなら教えて下さい)
とくに「誰かへ訊く」のが有益なのでお勧めします。なぜなら、マーケティングは、リサーチに始まり、リサーチに終わるからです。 |
| (小笠原昭治/筆) |