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クリーニング店のマーケティングとサービス/マーケティングで付加価値サービスを作り出そう
競争が激しさを増す業界の一つにクリーニング業界が挙げられます。
特に価格競争が激化し、利益を確保するのが難しくなり、スピードの競争も激しく 「安い・うまい・早い」 は当然のこと、
・コスト削減のため、レジ袋はありませんので、袋を用意してきて下さい
とか
・ハンガーを返却してくれたら××円をお返しします
とか
・折込チラシのクーポンやポイントカード
等々サービスの向上に努めていますが、懸命な努力にも関わらず、働けど働けど我が暮らし楽にならず…という店舗が多いそうです。
しかし、これらは、表面上の施策に過ぎず、付加価値マーケティングの観点からすると、残念ながら、サービスを本質まで掘り下げているとはいえません。
では、クリーニングの本質は何でしょう?
その前に、顧客インサイトをおさらいしておきましょう。
インサイトは顧客の「本心」のこと。
インサイトを突くことを「図星」といい、図星を突かれた人は、激しく抗うか、すんなりと動きます。
晩酌を楽しむ辛党に対し、甘党へプレミアムアイスを提案したハーゲンダッツの例のように
「それだッ!」
と目覚めた時に人は動きます。
ハーゲンダッツの例は用途提案の成功例でしたが、
「それだッ!」
という覚醒は商品戦略とも連鎖します。
短くいえば、用途提案のみならず、覚醒を促す製品を開発する必要があるということ。
新製品の開発に馴染みの薄い方には、製品開発というと、
・青色発光ダイオードのような画期的な開発

・サントリーの青バラのような、不可能を可能にする開発
を想像しがちですが、そんな高度な開発は、どこの会社でも出来る芸当ではありません。
では、どうすれば良いのでしょう?
おそるべき新製品でなくても構いません。すべて付加価値が解決します。
クリーニングを上回るクリーニングは存在しません、クリーニングの付加価値を考えましょう。
付加価値を考えるにあたって、クリーニングの本質を追究すべく、仮に、OLをターゲットにしましょう。
クリーニングへ依頼するOLのインサイトを
「キレイな服を着たキレイな女性でいたい」「みんなからキレイだと思われたい」
と仮定すると、しかしながら、心の奥底には、
1 クリーニングして返してもらっても、しまう場所が狭い
2 クリーニング店へ行くのが面倒
3 帰宅する頃にクリーニング店は閉まっている
の3点が挙げられます(もっとありそうですが未調査)
とすると、インサイトは
「来年のシーズンまで預かって欲しい」
が挙げられます。スキーウェアや浴衣やダウンジャケットなどの季節物は確実にそうでしょう。つまり、
「来年まで預かるサービス」
が考えられます。となると、 「早い・うまい・安い」 のうち 「早い」 仕上がりである必要はありません。
来年までにクリーニングしてあれば良いのですから。
季節物は、遅ければ遅いほど好都合。
しまう場所がありませんから、来年まで預かってもらったほうがOLにとってはありがたいでしょう。
業界の常識からすれば「仕上がりが遅い」なんて論外でしょうが、Yシャツもコートも 「同じ需要」 と考えるからスピード競争に陥るのです。
Yシャツと季節物はニーズが異なります。遅いほうが良いものだって、あります。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
以上を踏まえた上で、コア・ベネフィット(顧客メリットの核心)を考えてみましょう。預かってくれるということは、ホテルのクリーニング・サービスのように、
「洗っておいて、しまっておけて、必要なときに、部屋まで届けてくれる」
というクリーニング 後 の需要があります。ホテルのクリーニングが、そうですね?
ホテルと比較対照すれば、これまた業界の常識である
「安さ」
を競う必要はなく、別料金でもいいから、特別待遇のホテルコースという新サービスを設ければ良いのです。
人は、快適という付加価値にお金を払います。
とすれば、エモーショナル・ベネフィット(感情的利便性)は
「ホテルのクリーニング・サービスを、自宅で使っている私」
になり、
ファンクショナル・ベネフィット(機能的利便性)は
「収納と宅配」=しまう場所が要らなければ、取りに行く面倒もなし
という顧客価値が生まれます。
収納は、通年利用および業務用の取引量を背景に、アーカイブ会社と提携して、個人が預け入れ利用するよりも安い料金に設定し、収納でも、薄利ながら利益が出るように価格設定。
つまり、預け入れる数が多ければ多いほど、本業のクリーニングとは全く別の利益が入ってくる仕組み。宅配は、宅配便にお任せ。もちろん、届けてもらいたいというユーザーの受取人払い。
こうなると、現在のクリーニング業界の常識である「早い・安い」が根底から崩れ去ることになります。
しかし、それを待ち望んでいる顧客がいるなら、新商品は売れます=儲かります。
高級クリーニング通販が話題になったように、安いから良いという構図は間違っています。
ファーストクラスのように、高くても需要があれば、ビジネスは成り立ちます。
いまは影も形も無い新サービスであっても、新商品を作り出せば、新商品が新しい利益を運んできてくれます。
もちろん、Yシャツなどのスピードが求められる商品向けに「早い・安い」を外す必要はありません。
望む新サービスが、望む人のところへ、届けばいいのです。
しかし、現実として、
「そんな別料金を払うのはイヤ」
というのもインサイトでしょう。
ならば、無料コースも作ればいいのです。有料と無料の2コースを用意するのです。
先のホテルコースが利益を高める商品とすると、無料コースは、
「他店ではなく、当店へ依頼してもらうため」
のプライスリーダー(おとり商品)になります。
よくよく考えてみましょう。クリーニングは季節物を扱うため、重要期の波が激しいのが特徴。忙しい時期には忙しくて、暇な時期には徹底的にヒマという偏りがあります。
ならば、忙しい時期には、預かるだけにしておいて、洗わず、そのままにしておく。それを、ヒマな時期になったら、洗うという仕組み。
通年で考えれば、繁忙と閑散に関わらず、コンスタントに仕事が入るのと一緒になります。もりろん
「すぐには洗わなくてもいいですか?」
という許諾あっての無料コースであることはいうまでもありません。
「すぐに洗ってほしい」
というのであれば、有料になります。
(ページ半分まで読みました)
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もしも「どうしても、預かる場所が狭い」というのであれば、いまの場所を整理整頓して、たとえば100着分のスペースを空け、
「来年の夏まで浴衣を預けっぱなしのサマー・キャンペーン!先着100着まで」
というキャンペーンを張れば良いのです。預けられる付加価値が、商品を上回る価値になります。
なにせ女性は服持ち。
来年まで着なくてもいい服を預けられるということは、家が広くなるのと一緒。とくに、賃貸で部屋を借りている女性には喜ばれるでしょう。
これが本質論に基づく付加価値マーケティングを用いた新商品の作り方です。いとも簡単に作り出せますし、開発費も導入コストも殆どゼロ。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
クリーニングが、洗濯という無形サービスである以上、クリーニングを上回る、クリーニング以上のクリーニングを開発するのは至難のワザですから、付加価値サービスを作って、次々と導入すればいいのです。
新商品があれば、ニュースリリースできます。新聞やテレビや雑誌に載る機会が増します。
広告やチラシも、今までのクーポニングのみならず、「新しいサービスを始めました」という、目を引く告知を兼ねることができます。
何より本案は、新商品でありながら
「クリーニングするなら当店へ」
と、顧客の背中をポンと押す販促案も兼ねています。宅配という新しいチャネルも出来ます。新商品の価格が、新しい利益を運んでくれます。
いいことずくめです。さっそく取り組みましょう。
今回はアイディアフラッシュを2つ挙げましたが、筆者はクリーニング業界に暗いため、もう少し与件があれば、あと10案は出せます。
このような新しい価値が、その店だけの優位性となって伝わり
「あの店は××だから、あの店がいい」
との評判になり、リピーターの増加に繋がります。
付加価値サービス、お分かりになりましたか?
たとえば、誰もが歯医者は嫌いでしょう。少なくとも、好きで通う人は皆無でしょう。
あのキュイィーンという音がイヤだ、痛そう、お金がかかるし、時間がかかるから、誰しもイヤ。そのインサイトを突けばいいのです。逆説すれば、
「痛くなくて、お金がかからなくて、暇つぶし程度の時間にいける歯科医院」
なら、どうでしょう?
歯医者はイヤだけど、虫歯はもっとイヤでしょう。否が応でも歯医者に行くことになります。
ならば「どんな症状か?」診察するだけのサービスを付加すればいいのです。その販促策が新患を増やします。たったそれだけのことです。
都合の良いことに治療施設には、初診料なる項目で請求できます。(BtoBでは考えられませんが)
それを「虫歯発見サービス」にすればいいのです。
新規の開拓というと、まず真っ先にプロモーション(売り方)に目先が走り、
「広告か?チラシか?」
となりがちですが、商品と価格と流通と促進の4Pがミックスされていなければ、付け焼刃に終わってしまいます。
マーケティングは、広告も販促も商品も付加価値も、単発のアイデアではなく、5つのPがミックスされて、初めて、功を奏します。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
ここからは余話として。
クリーニングを例示したのには理由があります。私事で恐縮ですが、筆者の遠い縁者が、還暦を境に、長年経営してきたクリーニング店を閉じました。廃業です。
しかし、まだ年金がもらえず、かといって、他の業界にも通じる特技があるわけでもなく、若い頃からクリーニング一筋でしたから、やむなく、年齢・経験不問の誰にでも就ける職業へ転職しました。。心身ともに、つらいそうです。
確かに、老け込んだように見えました。廃業とともにプライドも廃れたのでしょうか。
それもそのはず、昨日までは、小なりとも、一国一城の主だったのです。せめて、廃業する前、
「どうも。このごろ芳しくなくなってきたなあ」
と思った時点で、筆者へ相談してくれていれば、知恵を出せたのに……と残念に思いました。
「やばい」
と思った時点で、もう衰退の一途が始まっています。負けていることに気づかず負けてしまうものです。
とくにクリーニング業界は、参入しやすいだけあって、競争も激しいのですが、それでも
「なんとかなる」
と思いたいものですし、なんとかしようとするものです。しかし、時間は無常に過ぎてゆく。
お店を存続させていれば、今まで通り、クリーニング店の店主でいられたのに、筆者のマーケティング力を役立てられなかったのが無念でなりません。
クリーニング業界に疎いけれども、マーケティングの知識と経験だけはあります。独自のマーケティング理論を、現場へ反映させられます。それを伝えておけば良かったと後悔しています。
もっとも、クリーニング店のオーナーであった縁者に、マーケティングを説明しても、業界の常識に縛られて、理解されなかったと思いますが、強談してでも、伝えておけば良かったと思います。
自分のことなら、どうにでもなりますが、他人のこととなると、判断するのは当の本人であって、筆者には、どうにもなりません。
余話が長引いた上に、つい、湿っぽい話になってしまいました。
 (小笠原昭治/筆)
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