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無料のサービスを有料化する方法/ブックオフのビジネスモデル
1)図書館と書店
読売新聞の調査によると、全国主要都市の公立図書館で行方不明になった蔵書は約28万4000冊。
被害額は約4億円。被害額ということは、公立図書館が「本を盗まれました。市民が返してくれません」といっているようなものですが、それに関してはテーマが異なりますので、別ページにて。(参考ページ:マーケティングで地方を活性化する方法
それにしても、図書館で、公共の本を万引きする人がいるとは驚きます。
中でも、万引きを咎められた主婦の言い訳が面白すぎて笑っちゃいました。
「本が勝手にバックに入っていた」
んだそうです(笑)。小学生でも、もっとマシな言い訳を考えるでしょう(大笑)
公立の図書館は、無料で蔵書を貸してくれる施設です。
無料であるがゆえに窃盗という犯罪への意識が薄いのでしょう。なにやらWebサイトのコンテンツに似ています(苦笑)一方、書店は有料。
書店で本を盗めば万引きになることくらい、前述の主婦でも知っているはず(笑)
その書店には、新刊を扱う書店と、中古書のみ専門に扱う中古書店があります。
新刊を売る書店は、あちこちで見かけます。中古書店は、珍しかったかもしれません。
その中古書店で急成長を遂げたのがブックオフ。もちろん、中古本を販売しています。
http://www.bookoff.co.jp/company/outline.html
ところが!ブックオフは「本を 買 う な ら ブックオフ」とは言わず、逆に「本を 売 る な ら ブックオフ」と訴えています。
「買って」ではなく、なぜ「売って」なのでしょう?この疑問の先に、ブックオフのエポックメイキングが潜んでいました。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
2)ブックオフのエポックメイキング
ブックオフが急成長した背景には再販制度にあります。
再販制度とは「定価で売りなさい」と法律で義務付けれられた品目に適用される制度で、書籍・雑誌・新聞・音楽CD・音楽テープ・レコードの6品目だけは、著作権を保護する目的で、定価販売が義務づけられています。
要するに、本と音楽だけは、
「安く売ったら、著者や音楽家や出版社やレコード会社の取り分が無くなっちゃうでしょ?そうすると創作活動に支障を来たすから、いい作品が生まれなくなるでしょ?だから安売りしちゃダメですよ」
ということ。
どこへ義務付けているかというと、小売店。
メーカーにあたる出版社やレコード会社等が決めた書籍やCDの価格を、小売にあたる書店やキオスク等の
販売側は、新作でなくなるまで、定価通りに販売するよう義務付けられています。
ここに法の抜け穴がありました。
「新作でなくなるまで」
という部分です。古いか新しいかという時間の概念です。
価格保持期限が過ぎれば、中古書や中古CDになりますから、古本や古CDとして安売りできます。
なので、神田古書店街に代表される従来からの中古書店では、紙色の褪せた古本のみ販売していました。
これは合法。
しかし、一方の買う側からすると、古ぼけた古本ではなく、発売されたばかりの新刊を安く読みたいものです。
「新刊を安く読みたい」という需要がありました。
が、再販制度がある限り、新刊の安売り不可能。当然、読者は、古本になるまで待つしかありません。
ところが、古書店へ売られた新刊となると、価格保持期限(新刊の期限)であっても、古本になります。
この流通チャネルが、時間の概念を破壊しました。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
書店で買った新刊を、中古として仕入れるチャネル(流通経路)があれば、新刊であっても、安売りできる!
ここがブックオフのエポックメイキングでした。
読者にとっては、新刊を安く買えます。法律に抑制された巨大な需要が芽吹き、またたく間にブックオフは上場企業へ成長しました。
新刊を中古として仕入れるチャネル(流通経路)は、書店で新刊を買った誰かから、売ってもらう他ありません。それがブックオフというビジネスモデルの生命線です。
そのため「本を売ってくれ」と訴えています。
なので、ブックオフは、新刊書店ではなく、中古書店です。読後の新刊を仕入れることで、新刊の正規ルートである卸以外の仕入れ先を確保しようとしているのでした。
(ページ半分まで読みました)
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3)ブックオフの付加価値
この記事を書くにあたり、試しに、ブックオフへ何冊かの本を売ってみました。拙著を除き(笑)
状態の良い近刊本は、定価の10%で引き取ってくれます。定価1,000円の本と引き換えに100円くれます。
ところが、どんなに状態が良くても、中古本の引き取り価格は10円。状態が悪い中古本となると0円。
この価格設定からも、ブックオフは、古本を仕入れたいのではなく、新刊を仕入れたいことが分かります。
では、この価格設定をもとにシュミレーションしてみましょう。
まずは古本から。
0〜10円で仕入れたものを、100円で販売するということは、金額として見れば、わずか90円〜100円の儲け。
と思ったら大間違い。
利益率として見れば、90%〜100%という驚異の利益率になります。こんな商売、滅多にあるもんじゃありません。
たとえば、一万冊が売れて100万円の売上があったとすると、90万円〜100万円が利益になります。
次に新刊古書。
状態の良い近刊本を定価の10%で引き取ってくれることは、仕入れ10%ですから、定価千円の本なら仕入れ100円。
それが店頭では、定価の半額で売られるのですから、定価千円の本ならば500円が販売価格で、定価の40%にあたる400円が利益。
新刊古書のほうが利益率は低くても、新刊を安く読みたいという需要がありますから、古本より売れることは確か。
マーケティング・コンサルタント小笠原昭治
新刊を半額で読める!
価格に敏感な読者にとって、状態の良い新刊を半額で買えるとなれば、通常の書店では買わずに、ブックオフで買うのは自明の理。すごいビジネスモデルを作ったものです。
この仕組みについて、既存の書店や古書店はもとより、著者や音楽レーベルから非難を浴びていますが、違法どころか合法ですし、リサイクルにもなりますし、なにより、顧客に受け入れられている現実は大きいといえましょう。
著者や作詞家、作曲家にとっては迷惑な存在かも知れませんが、ブックオフは、業界の因循を破壊した成功例。
破壊とはいえ、ブックオフは、昔からある中古書店ですし、商品の書籍も昔からあります。
そこへ「新刊を安く買える」という価値を付加しました。つまりは付加価値です。
これが新しかった。
今までに無かった。
業界に風穴を開けた。
わずか10年余で東証一部へ上場するほどの強力な付加価値でした。
4)無料を有料に
さらに分析してみると、ブックオフでは、事実上、有料で本を貸し出している私営の図書館ともいえます。
ブックオフで100円で買った本を、ブックオフへ10円で売るということは、一冊90円で 借 り て い る の と 同 じ仕組み。
しかも、図書館とは違い、買うのですから、本の返却期限は無期限。いつまで所持していい気楽さがあります。
「売買」だけで考えると発想できませんが、「賃貸」で考えれば、ブックオフは有料の図書館で、しかも、とてつもなく利益率の高い図書館ということになります。
また、広告でブックオフは、
「読み終わった本をブックオフへ売って、売ったお金でブックオフで本を買って、読み終わったらブックオフへ売ろう」
というサイクルを用途提案しています。
ブックオフで売る→ブックオフで買う→ブックオフで売る→ブックオフで買う……
ということは、他の書店ではなく、ブックオフだけに行きましょうという顧客の囲い込みに他なりません。
これが有料の図書館にさせています。
では、公共の図書館が、有料で本を貸し出すと考えてみてはどうでしょう?
な図書館を「無料の貸借」ではなく、「有料の賃貸」と考えたとき、ブックオフのようなビジネスモデルが浮かんできても不思議ではありません。
付加価値は、本質を突き詰めたところに見えてきます。本質は何か探りましょう。本質を見つけたら突き詰めましょう。
 (小笠原昭治/筆)
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